プレスリリース |
平成13年4月3日
農林水産技術会議事務局
技術安全課
「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」に基づく確認について
「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」(以下「指針」)に基づき、農林水産大臣が、農林水産分野等における組換え体の利用計画について「指針」に適合していることの確認を行っている。
今般、4件の組換え体利用計画について「指針」に適合していることへの確認申請があり、農林水産技術会議組換え体利用専門委員会における審議を経て、本利用計画が「指針」に適合していることを確認した。
申 請 者 利 用 計 画 宿 主 利用区分 計 画 名 タキイ種苗株式会社 カリフラワー 開放系利用
雄性不稔遺伝子及び除草剤耐性遺伝子を導入した
カリフラワー(CF156)の栽培タキイ種苗株式会社 ブロッコリー 開放系利用
雄性不稔遺伝子及び除草剤耐性遺伝子を導入した
ブロッコリー(BR891)の栽培中央農業総合研究センター・
北陸研究センター
(旧 北陸農業試験場)イネ 模擬的環境利用 エンバク・チオニン遺伝子を導入した組換えイネ系統
(CT2)の安全性評価中央農業総合研究センター・
北陸研究センター
(旧 北陸農業試験場)イネ 模擬的環境利用 イネ・キチナーゼ遺伝子を導入した組換えイネ10系統
(N-ER2-1~2-4,N-ER3-1~3-2,K-ER2-1~2-2,
K-ER3-1~3-2)の隔離ほ場における
いもち病抵抗性検定と環境に対する安全性評価
注1:宿主は、遺伝子が導入された作物をあらわしている。
注2:「利用区分」のうち
(参考)
現在までに「指針」への適合確認を受けた組換え体利用計画件数(暦年)
平成元年 | 3件 |
平成2年 | 1件 |
平成3年 | 1件 |
平成4年 | 8件 |
平成5年 | 16件 |
平成6年 | 18件 |
平成7年 | 18件 |
平成8年 | 27件 |
平成9年 | 25件 |
平成10年 | 31件 |
平成11年 | 25件 |
平成12年 | 18件 |
平成13年 | 4件 |
合 計 | 195件 |
なお、次回の「指針」に適合していることへの確認申請の受付は、平成13年4月20日までとしている。
(問い合わせ先)
農林水産技術会議事務局技術安全課安全評価班
電 話:03-3502-8111(内線5099,5111)
03-3501-3780(直通)
担当者:秋葉,江上
(2)性 質
2)主な供与DNA
バチルスアミロリクファシエンス由来のRNA分解酵素遺伝子、
ストレプトミセスヒグロスコピカス由来のホスフィノスリシンアセチル転移酵素遺伝子
3)ベクター
アグロバクテリウム由来のpGSC1700
4)組換え体
導入した雄性不稔遺伝子及び除草剤バスタ耐性遺伝子の発現による雄性不稔性及びバスタ耐性の獲得以外に葉の大きさ、形状、葉枚数、草丈、茎の太さ、花蕾球高、花蕾球径、花蕾球重などの農業形質について宿主植物との大きな相違は認められない。花の諸器官の大きさならびに開花の時期については宿主植物との相違が認められたが、一般の雄性不稔系統にも認められるものである。組換え体においては花粉形成能力が失われているため、受粉により導入遺伝子が他の植物に拡散する恐れがない。以上の点から、本組換えカリフラワーは、環境に対する安全性が確認された組換え体として開放系において利用して差し支えないと判断した。
(2)性 質
2)主な供与DNA
バチルスアミロリクファシエンス由来のRNA分解酵素遺伝子、
ストレプトミセスヒグロスコピカス由来のホスフィノスリシンアセチル転移酵素遺伝子
3)ベクター
アグロバクテリウム由来のpGSC1700
4)組換え体
導入した雄性不稔遺伝子及び除草剤バスタ耐性遺伝子の発現による雄性不稔性及びバスタ耐性の獲得以外に葉の大きさ、形状、葉枚数、草丈、茎の太さ、花蕾球高、花蕾球径、花蕾球重などの農業形質について宿主植物との大きな相違は認められない。花の諸器官の大きさおよび開花の時期については宿主植物との相違が認められたが、一般の雄性不稔系統にも認められるものである。組換え体においては花粉形成能力が失われているため、受粉により導入遺伝子が他の植物に拡散する恐れがない。以上の点から、本組換えカリフラワーブロッコリーは、環境に対する安全性が確認された組換え体として開放系において利用して差し支えないと判断した。
(2)性質
2)主な供与DNA
抗菌性を付与するエンバクのチオニン遺伝子
3)ベクター
pBI121由来のpMLH7133
4)組換え体
エンバク由来のチオニン遺伝子を恒常的に発現するプロモーターに連結し、薬剤耐性マーカーとともに導入されたものである。導入遺伝子は自殖後代においても安定して発現し、細菌病に対する抵抗性が維持され、生体内での有毒物質の産生と大気中への放出もなかった。組換え体は原品種と比較して1穂当たりのもみ数が少なかったが、その他の生育特性及び遺伝的特性には差異はなかった。もみ数の減少は、組換え体の花器等の生殖関連特性に変化はみられなかったため、環境への安全性評価に影響を与えるものではないと考えられる。これらの調査結果から、エンバク由来のチオニン遺伝子の組換えイネでの発現、細菌病に対する抵抗性の付与及び1穂あたりのもみ数の減少以外に原植物との相違は認められない。以上の点から提出された1系統の遺伝子組換えイネの隔離ほ場での栽培は、環境への影響が非組換え体と同程度であると判断した。
(2)性 質
2)主な供与DNA
抗菌性を付与するイネのキチナーゼ遺伝子
3)ベクター
pBI333-EN4RCC2またはpBI333-EN4RCG3
4)組換え体
本系統はイネ由来の2種のキチナーゼ遺伝子を恒常的に高発現するプロモーターに連結して2種のバイナリーベクターを構築し、薬剤耐性マーカーとともに導入されたものである。導入遺伝子は自殖後代においても安定的に発現し、いもち病に対する抵抗性が維持され、生体内での有毒物質の産生と大気中への放出もなく、生殖及び遺伝的特性に変化がなかった。一部の系統では短稈で出穂期の早期化といった形態と生育特性に有意差が認められたが、これらの特性変化は、栽培品種の特性の範疇に入るものであり、環境への安全性評価に影響を与えるものではないと考えられる。以上の理由から、提出された10系統の遺伝子組換えイネの隔離ほ場での栽培は、環境への影響が非組換え体と同程度であると判断した。