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12月の菜園

(関東内陸部の奥武蔵・奥多摩地方が基準になっています)

 露地の菜園作業は、12月から2月中までしばらくお休みですね。
 ビニールハウスやポリトンネルでも使って温度を上げてやらないかぎり、タネを蒔いても発芽しませんし、育ちません。
 で、今月は、トンネル栽培と、キノコ栽培用の原木のお話です。

 秋の葉根菜類で、蒔き時期が遅れたりしてまだ収穫に至らないものは、ポリトンネルで覆って保温してやれば、生育期間を延ばせます。
 トンネル用の支柱は、濃緑色で半円形に曲げた中空の塩化ビニール製のものが一般的によく売られてますが、雪の少ない地方では、ダンポールというガラス繊維をコーティングした細いもののほうが、使用時期以外はまっすぐに戻って場所を取らず、値段も塩ビパイプの半値程度ですからお勧めです。(当店では、通常、直径 5.5mm で長さ2.1m の断面が丸いものを勧めています)
 支柱の間隔は、50cm〜1m ぐらい。間隔を狭くした方が当然丈夫ですし、雨や雪でつぶれる心配も少ないですが、大雪などに逢うとどのみちつぶれて立て直すことになりますので、そこは御予算と相談の上で。(^^)
 のせる資材は、ユーラックカンキという換気用の穴の開いているものが、日中高温になった空気が外部に逃げられるのでお勧めです。
(この換気用の穴が無いと、晴天時には内部が 50℃近くにも上がり、昼夜間の温度差が大きすぎて、植物はかえって参ってしまいます。毎日、朝晩開閉してやればいいのですが、専業でない限りちょっと無理ですね)ユーラックという資材は保温効果も高く、内部に水滴もつかないので、水滴が落ちてムレるのも防げます。(穴無しの普通のポリに比べ、お値段は二倍ぐらい高いですが)
 ある程度育っていて、霜だけ避ければいいのでしたら、タフベルという霜除け資材がいいでしょう。保温効果はありませんが、寒冷紗のように空気の流通ができるので、春菊や法蓮草、小松菜などの葉が痛むのを防げ、雨も入りますから長期間収穫するのに向いています。(寒中の鳥害予防、春の虫よけにも大変効果があります)

【原木キノコ栽培のすすめ】
 雑木林の葉が落ち、木が水を上げなくなったら、不用な木を切って、シイタケなどを栽培する原木にしましょう。
 春暖かくなってから菌を植える人が多いようですが、12月に枝を付けたまま切り倒し、一ヶ月以上置いて枝先から余分な水分が蒸発するのを待って、1m位に切り分け、一月半ば頃から植え付けるのが理想的です。
 もちろん、3月頃木が再び水上げを始めるまで、いつ植えても構いませんが…。
 暖かくなって水を上げ始めた木は不適ですから、寒い内に作業を終えましょう。

【キノコ栽培に適した木】
シイタケ栽培に最適なのは、ナラやクヌギですが、シデ、クリ、カシ、シイの木も使用できます。

ナメコ栽培には、サクラ、ヤナギ、ブナ、ハンノキが最適。ナラ、シデ、シイ、トチ、カエデ、カツラ、クリ、ホオの木も利用できます。(センダン、クスなど臭いのある木は不適です)

ヒラタケ(昔はシメジとして売られていましたね)を栽培したいのでしたら、最適なのがクルミ、リンゴ、ポプラ、エノキ、ミカン。適樹としてハンノキ、アカシヤ、サクラ、トチ、ムク、アオギリ、クワ、ヤナギ、ケヤキ、カエデ、タラ、シラカバ。発生樹としてヌルデ、ツバキ、シデ、ホオ、プラタナス、ブドウ、サルスベリ、カキ、キリ、ネム、イチジクがあります。
適用樹種が多いヒラタケですが、センダン、クス、イチョウ、ナラ、クヌギ、カシ、アベマキは向きません。シイタケの発生する木には向かないので覚えておきましょう。
また、シイタケ栽培に向かない雑木は、キクラゲ栽培にも利用できます。

その他、原木栽培できるキノコには、
クリタケ=ナラ、クヌギ、クリ、シイ、カシ、カシワ、ブナ、シデ、アサダ、シラカバ、ハンノキ、ヤナギ、サクラ、カエデ、トチなどの広葉樹とカラマツ。

エノキタケ=エノキ、カキ、ケヤキ、プラタナス、クワ、ポプラ、アカシヤ、ナラ、クヌギ、ハンノキなど多くの広葉樹。

マイタケ=ナラ、クヌギ、ブナ、クリ、シラカバ、シイ、カシなど。
が、あります。ただ、マイタケは、菌の力が弱く雑菌に負けてしまうようで、うちから菌をお持ちになった方で成功された方はまだいらっしゃいません。(笑)
菌の植え方などは一月のページで。(だって、一月もあまり書くことがないから)


[ひとりごと]
これから3月までのタネ屋ぐらい暇な店も、そうは無いだろう。(笑)
売るものがないのだからしょうがないが、昔から盆暮勘定が通ってきた業界だから、支払いに追われる歳末。
なにか冬の間だけ売れる商品はないものか。と、昔から同じようなことを言いながら、金策に追われている。
暇ならホームページの更新ぐらいできそうなものだが、申し訳ない。と誰に謝っているのか。(2000.1.21)

〒357-0067 埼玉県飯能市小瀬戸192-1 野口のタネ/野口種苗研究所 野口 勲
Tel.042-972-2478 Fax.042-972-7701  E-mail:tanet@noguchiseed.com


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